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言葉や言語の行動に与える影響

最近、私はポジティブな言葉を使いましょう、ポジティブな言葉を使うことで、人生が幸せになりますということで、言葉の影響力の大きさについて投稿してきました。意識的に使う言葉を変えることで、私たちのあり方が大きく変わりますが、無意識的にどういう言語を使っているかで、私たちの行動も変わります。

【日本語は場の言語】

日本語は「場の言語」と言われ、場の中に視点を置いて説明する言語です。つまり場を共有していることを前提として構成されているのです。英語は場の外から、そこで何が起きているのかを説明することを前提としています。

英語では”Merry gave me this book”(メリーがこの本を私にくれたの)と5W1Hをベースに説明しますが、日本語では「メリーがくれたの」と、“本”と“私”を省略します。場の中にいる人たちは、本を持って、説明しているので、あえて本と言う必要もないし、「くれた」と言えば、当然に話している人がもらったと思うからです。

こういう前提があるので、英語話者から見ると、日本語は主語が不明確な言語と言われる所以なのです。日本人が客観的に起きていることを説明するのが苦手というのは、場の中の視点で話をしようとするので、場を共有していない人は、理解しづらいのです。

【言語が貯蓄能力与える影響】

私たちは使っている言語が行動に大きく影響を与えるということも知る必要があります。行動経済学者のキース・チェン氏がTEDの動画で、使っている言語で貯蓄率が変わるということを話しています。タイトルは「言語が貯蓄能力に与える影響」ですので、下記にURLを張るのでご覧になってください。

皆さんが英語を習ったときに、戸惑ったのは“時制”ではないでしょうか。過去形、現在形、未来形という時制が日本語では曖昧なために、使い分けに苦労したと思います。

世界には、時制を明確に持った言語と持たない言語があります。チェン氏は世界中の言語と貯蓄率を調査して、時制のある言語とない言語の貯蓄率を比べたのです。

未来時制のない言語を話す国の人は、未来時制のある言語を話す人に比べて貯蓄率が高いということがわかったのです。

貯蓄というのは、「将来の喜び」のために、「現在の苦しみ」を取る行動です。未来時制のない言語を話す人は、現在も未来も非常に近い感覚なので、「将来の喜び」というより、「今の喜び」として貯蓄をしているらしいのです。

反対に、未来時制と現在時制がしっかり分かれている言語、例えば英語を話す人は、未来の話をするときに、現在と切り離しているので、貯蓄は遠い先の日のためのことであり、今は、貯蓄をしにくい、というロジックです。

チェン氏は未来形のある言語とない言語が使われている9ヵ国から、属性や、所得レベル、学歴などを考慮して、できるだけ類似する家庭をそれぞれの言語から選び、比較しました。

すると、未来形のない言語を話す人々のほうが貯蓄率は30%も高かったのです。日本人の貯蓄率が他の国と比べて高いというのは、私たちの使う言語の影響もあるらしいのです。

健康に関するデータもあったので喫煙についても調べたそうです。喫煙は、「現在の喜び」と引き換えに「未来の苦しみ」をとる行為です。

結果は、未来形のない言語を話す人々の方が、喫煙率が20~24%低かったのです。

意識的にネガティブな言葉をポジティブに変えることで人生が変わりますが、自分たちが無意識で使っている母国語によって、私たちの行動も影響を受けているのですね。

言葉や言語は意識的にも、無意識的にも私たちの行動に大きな影響を与えるということに驚きますね。

キース・チェン氏の『言語が貯蓄能力に与える影響』の動画のURLです。